着物のお手入れについて
ここでは、大切な着物のケア、ご自宅で簡単にできるお手入れ方法、その他、着物の知識についてお話します。
着物の保管方法
着物の保管方法着物のケアは「虫干し」が基本。 でも、それがなかなかできないのもわかります。広げておくスペースもないし、暇もない。
そこで、そもなぜ「虫干し」が必要なのでしょうか。
答えは《湿気》です。
着物には大敵なんです。
すなわち、湿気を遠ざければいい。現代の建物は、湿気がこもりやすいので、なおさら、気をつけなければなりません。
そこで、以下の方法をお勧めします。
- 半年に一度はたとう紙を交換=半年で、吸湿力が半減します。
- シリカゲルなど吸湿剤を使う。
- たびたび、タンスの引き出しを開けて、空気を入れ替える。
- 天気のいい日に、たとうしに包んだままでもいいので、タンスから出して畳の上に 置いておく以上の方法を複合して行うだけで、湿気はかなり取り除くことができます。
使用後のチェック
着物を脱いだら、しまいこんでしまう前に、チェックしておきましょう。知らぬ間にシミがついていることもあり、応急処置をするかしないかで、そのあとの対処が変わってきます。
逆に食べこぼしなどに気づかないまましまいこんでしまい、次にあけたときにはカビだらけなんてことも。
黄変がでてしまうと、繊維そのものが傷つけられるため、多少は修復できても、完全に元の状態に戻ることはありません。
事前のケアが大切なんです。
チェックポイント
- 衿周り=皮脂、汗ジミ、ファンデーション
- 袖口=皮脂
- 前身ごろ=食べこぼし
- 裾=床の汚れ、泥はね
- 背中、帯周り=汗ジミ
汚れたときの対処法
- ファンデーション=付着したらすぐにベンジンでふき取る。
これでかなり落ちるが、汗と混じってしまうと変色することも。 - なるべく早く処置しましょう。
- 食べこぼし(水性)=こぼしたらすぐに乾いた布で叩いて吸い取ります。その際、絶対擦らないこと。
対処が早ければ、そのままシミにならないこともありますが、糖分を含んだものだと、いったん見えなくなってもあとで変色することがあります。丸洗いで洗い落とすことができます。 - 食べこぼし(水性・油性混合)=対処が早くても汚れがつくとシミになり、なかなか抜けません。
シミ抜きが必要です。その際、早いほどよいでしょう。目安は半年以内。 1年以上ほおっておくとシミは落ちにくくなります。さらにそのまま放っておくと、黄変、あるいは、 カビの繁殖によって、シミ抜きでも対処できなくなります。 - 皮脂汚れ=ご自宅で対処するのは難しいでしょう。着物専門店に依頼するのが懸命です。
- 汗=料金的には高いものではないので、丸洗いやシミ抜きのときに一緒に汗抜きを頼むのが
- ベストです。
汗抜きは大切
意外に大切で、意外に見落とされるのが汗抜き。
着物は湿気に弱いし、汗にはもっと弱いのです。
干せば湿気はとれるけれど、汗の成分である塩分やアンモニアが残ってしまう。ほっておくと変色や生地の変質を招くのです。
それに、しまった状態で蒸発した汗の成分がガス化して着物全体を傷める結果にもなります。
ドライクリーニングでは、水性の汗は落ちません。
そこでお勧めするのが、「汗抜き」です。
高圧蒸気をかけて、繊維にしみ込んだ汗を弾き飛ばします。
完全に落とすのには洗い張りしかないのですが、汗抜きでもかなりケアができます。
丸洗いにもいろいろある
丸洗いと言っても、一口にはいろいろな業者がいます。
元々は、洋服のクリーニング屋さんで、着物も扱うようになった業者さん。
元々は、仕立て屋さんで、メンテナンスの一環で、丸洗いも扱うようになった業者さん。
そして、もともとメーカーで、アフターケアの一環として、丸洗いサービスを扱うようになった、私たちのような業者。
どれがいい、悪いは、一概に言えません。
ただ、クリーニングやさんは、「クリーニング」は専門のプロフェッショナルでも、着物には必ずしも詳しくありません。そもそもクリーニングは、洋服の世界のサービスだったんです。
仕立て屋さんは着物の専門家ですが、総合的なサービスにはいささか難があるかもしれません。
だから、メーカー系の当工房のようなところがいいと言うわけではありませんが、着物のことならなんでもお任せいただける自負は持っているつもりです。